名古屋地方裁判所 昭和53年(わ)404号 判決 1978年6月20日
本籍並びに住居
愛知県稲沢市下津町西国府一四番地
歯科医師
野村幸子
昭和一一年八月七日生
主文
被告人を懲役五月及び罰金六〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、愛知県稲沢市小池正明寺町四六三八番地野村ビル二階において、野村歯科医院を経営しているものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一、昭和四九年分の実際所得金額が四七、八五七、一四三円で、これに対する所得税額が二一、七八三、八〇〇円であったのにかかわらず、自費診療収入の一部を除外して簿外預金を設定し、かつ、不動産を簿外にする等の方法により、所得の一部を秘匿したうえ、昭和五〇年三月一五日、愛知県一宮市栄四丁目五番七号の一宮税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三三、三〇五、一六〇円で、これに対する所得税額が一二、七一六、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額九、〇六七、六〇〇円の所得税を免れ、
第二、昭和五〇年分の実際所得金額が四二、〇二〇、三〇五円で、これに対する所得税額が一七、五四八、七〇〇円であったのにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和五一年三月一五日、前記一宮税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三〇、六一〇、七一二円で、これに対する所得税額が一〇、七〇三、五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額六、八四五、二〇〇円の所得税を免れ、
第三、昭和五一年分の実際所得金額が五五、三〇九、四二三円で、これに対する所得税額が二六、〇三九、一〇〇円であったのにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和五二年三月一五日、前記一宮税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三五、一五六、四四三円で、これに対する所得税額が一三、二五二、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額一二、七八六、七〇〇円の所得税を免れ、
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき、被告人の当公判廷における供述のほか、同じく判示全事実につき、検察官証拠等関係カード(甲)番号4から9まで、16から18まで、23、24、30から32まで及び同カード(乙)番号2から13まで、15から18まで、21から27まで、同第一、二の事実につき、同カード(甲)番号10、19から22まで及び同カード(乙)番号14、19、20、同第二、三の事実につき、同カード(甲)番号28、同第一の事実につき、同カード(甲)番号1、33、同第二の事実につき、同カード(甲)番号2、34、同第三の事実につき、同カード(甲)番号3、11から15まで、35と同一であるから、これらを引用する。
(法令の適用)
判示各所為につき 所得税法二三八条(懲役、罰金併科)。
併合罪の加重、合算 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第三の罪の刑に)、四八条二項。
労役場留置 同法一八条。
懲役刑の執行猶予 同法二五条一項。
よって主文のとおり判決する。
(検察官藤田昇三、弁護人山田弘公判出席)
(裁判官 油田弘佑)